日本臨床歯周病学会 年次大会 大阪に 出席しました
2017年6月23~25日 大阪国際会議場において、日本臨床歯周病学会第35回年次大会『Save Teeth! Save Implants!~歯周病患者におけるインプラント治療~』が開催されました。多くの歯周病の専門医の素晴らしい講演があり 学ぶことが多い 有意義な学会参加となりました。
多数の歯を保存した症例とともに今回のテーマにあったのは、インプラントのメインテナンスとトラブル時の対応です。 論文など学術的エビデンスと最新臨床的知見を織り交ぜて興味深い内容でした。東京医科歯科大学 和泉雄一先生の基調講演から始まったが その抄録の内容を抜粋します。「インプラント治療は、欠損補綴治療を行う上での必要な選択肢の一つとなっており、機能的にも審美的にも優れ、患者にとっても歯科医師にとっても非常に有効な治療法となっている。誰もが口腔内で長期に安定したインプラントを望んでいるが、適切なインプラント治療が行われなければ悲惨な結果を招いてしまう。インプラント治療のリスクインディケーターとして、オーラルハイジーン、喫煙、アルコールの消費、歯周病の既往、コントロール不良な糖尿病、遺伝形質、インプラント表面性状があげられているがインプラント表面性状以外は 全て歯周病の関連因子でもある。歯周炎患者は歯槽骨の吸収によりインプラント埋入自体が困難だけでなく インプラント周囲炎の発症率が高く インプラントの失敗につながっている。メインテナンスの不良なインプラントは、インプラント周囲炎の発症が5倍上昇している。インプラント周囲炎は、オッセオインテグレーション後のインプラントで最も高い頻度で認められる。 インプラント周囲炎は、歯周炎と類似した病態をとり 細菌感染とそれに対する宿主の反応により炎症が惹起され、進行するものと考えられている。一方で本疾患は治療に対する反応が悪く、治療法も確立されているとは言えず、その原因となる細菌叢の解明や治療法の確立は大きな課題となっている。」九州支部 松井孝道先生は、積極的に治療を行なっている先生の一人である。「インプラント周囲炎の治療効果は感染したインプラント表面の汚染の状態によって異なり、軽度のインプラント周囲炎であれば デブライドメントや薬剤洗浄、光殺菌療法、抗菌剤の投与で回復が可能である。中程度や高度の周囲炎に進行すると外科的な処置も必要となってくる。汚染物質有機質や石灰化物の除染が成功の鍵となる。」としてより詳しく除染Decontaminationを述べられた。