予防歯科のススメ 健康寿命を考える No.2
お口の中から健康寿命を考えてみる。何でもしっかり噛んでよく食べることこそ健康の基本 歯の本数が少なくなると、当然ながら噛む力が弱くなります。そうすると食べ物の種類や形状が制限されてしまい、全身の栄養状態が悪化してしまいます。栄養状態が悪くなることはあらゆる病気のリスクを高くしてしまうほか、介護の要因となる『高齢による衰弱』を早めてしまうことにもなりかねません。また体が弱ってしまうことは『転倒、骨折』の要因にもなってしまいます。生きる基本は食べること。食べることを支えるのが歯の健康と舌の力です。歯が多い人ほど生活が豊かで、社会貢献度も高い 歯が少なくなることで生じるのが、『見栄えが悪い』『会話がしづらい』といった問題です。歯がないことで他人と接するのを恥ずかしいと感じたり、会話自体を億劫に感じたりしてしまうと、社会参加の機会も減ってしまいます。その結果、家に引きこもりがちになり、生活にも潤いを感じなくなってしまいます。歯は食べることだけでなく、コミュニケーションツールとしての役割も担っているのです。実際に自分の歯が多く、残っている人は高齢になっても社会貢献の意欲が大きく生活の質も高いといわれています。しっかり噛めることは『転倒防止』にもつながる 左右の歯でバランスよく噛み合せることは、体全体のバランスを整えるのにも一役買っています。実際の研究でも、無歯顎の人(歯が1本もない人)に総入れ歯を入れてもらうと、入れ歯を入れる前より頭部が安定し、体の重心の動揺が少なくなることがわかっています。要介護の原因となる『転倒、骨折』は、体力にくわえて体の安定させることが大切なポイントとなります。そしてこの点においても、自分の歯でしっかりと噛めることは非常に重要なのです。歯の本数と認知症の関係お口の健康と認知症との関係については、これまでにも様々な研究が行われてきました。そしてどの研究においても、残っている歯の本数が多く、噛み合わせも良好な人ほど、認知症になるなる割合が少ないという結果が出ています。その理由は、先にも述べたように、しっかりと噛むことで栄養状態が良いこと、また歯の本数が多い人ほど社会参加率が高いことが挙げられます。さらに噛むことで脳が刺激を受け認知機能の低下を抑えることも、認知症を予防できる理由の一つとして考えられています。歯周病と全身疾患 近年は歯周病が体の様々な疾患を引き起こす要因となることが指摘されています。要介護になる原因で最も多い『脳卒中』もその一つです。歯周病菌が歯ぐきの血管を通じて全身の血管に入り込むと動脈硬化を悪化させることが明らかになっています。これがやがて脳梗塞や心筋梗塞といった病気を招く恐れがあるのです。また歯周病によて歯ぐきに炎症が起こると、その炎症に関連した様々な炎症物質が血流によって全身へ運ばれます。その一つであるTNF-αという物質は血糖値をコントロールするインスリンの働きを弱め、肥満や糖尿病を悪化させる要因となることがわかっています。歯周病はそのほかにも、肺炎やアルツハイマー病、ガンとの関連も指摘されています。歯周病を予防することは、お口の健康維持においても重要な課題となってくるでしょうお口の健康と健康寿命の関わりが深いことがわかってもらえたでしょうか?歯科の2大疾患である虫歯と歯周病は、歯を失う原因の実に7割を占めています。さらに歯周病に関しては、脳卒中や糖尿病などの全身疾患にも悪影響を及ぼすことがわかってきています。体の健康維持はお口の中から始まるということです。これからも健康でいれるよう『予防歯科』を始めてみませんか?
左右歯が