予防歯科のススメ 口臭が強いのは病気のせい?

予防歯科のススメ 口臭が強いのは病気のせい?

2016年に日本歯科医師会は、全国の10代から20代の男女1万人を対象にした歯科医療に関する意識調査を行いました。その調査によると、歯や口の悩みとして『口臭』と答えた人は27.1%にのぼり、現代人の4人に1人は口臭の悩みを持っていることがわかりました。一方で口臭が気になっても歯科医院を受診する人はたったの9.4%、つまり口臭を訴えて歯科医院へ行く人は1割未満に過ぎないことも、同調査では明らかになっています。そこで今回は口臭とはどのようなものか、その原因などについても詳しく触れながら口臭における予防歯科の重要性についてお伝えしていきたいと思います。 どんな人にも口臭はある!?<生理的口臭について>冒頭の調査では、実に8割もの人が『自分の口臭が気になった経験がある』と答えています。つまり誰しも一度は『今日はちょっと口がクサイかも』と感じたことがあるということです。では反対に、口の中が全くの『無臭』という人は一体どのくらいいるのでしょうか?実は私達の吐く息は大なり小なり臭いを持っており、この世に口臭が全くない人は存在しません。このような誰しも自然と発してしまう口臭を『生理的口臭』と呼んでいます。 口臭には1日を通したサイクルがある 口臭の原因については後に詳しく述べますが、多くは口の中の細菌によって発生するガスがニオイの元になっています。しかし口の中には天然のクリーニング剤ともよべる『唾液』が存在し、普段はその唾液がニオイ物質をきれいに洗い流しているのです。ただその唾液も1日の中で常に一定の量が分泌されるわけではなく、口臭もまたその唾液の量に応じて変化します。例えば1日の口臭レベルの変化をあらわしたグラフを見ると、『起床時の』口臭が1日の中でも最も強いことがおわかりでしょう。これは就寝中に唾液の量が激減することによるものと考えられます。同様に空腹時にも唾液が減るため口臭レベルが上がり、、食事によって唾液が増えると口臭レベルも減少していきます。このように口臭は唾液が多い時には減り、唾液が少ない時ほど強くなる傾向があります。またこのような唾液と口臭のサイクルは、その日の体調や疲労、ストレス、女性の場合はホルモンバランスによっても変化します。1日の口臭予防は『朝食』から始まる  生理的口臭は1日を通して強くなったり弱くなったりを繰り返しますが、歯磨きや食事、水分補給を規則正しくおこなうことで、口臭を予防することができます。中でも特に重要となるのが朝食です。朝食を抜いてしまうと起床時の口臭は昼食時まで弱まることがありません。朝の食事は1日の唾液分泌を正常に保つうえでとても大切な要素なのです。忙しい朝でも、簡単なもので良いのできちんと朝食を摂ることが口臭予防には有効といえるでしょう。他人を不快にする口臭の9割が口の中に問題あり  一方、生理的口臭に対し、時間帯や体調の変化などに関連せず、常に強い臭いを発生させる口臭を『病的口臭』といいます。病的口臭は体のどこかに口臭を強くする何らかの原因が存在しており、その原因を取り除かない限り改善することは出来ません。またそのニオイも周囲の人が不快に感じるほど強くなります。病的口臭となる体の問題としては、鼻や喉といった呼吸器の病気、糖尿病やその他消化器系の病気、肝臓の病気などが挙げられます。しかし病的口臭のおよそ9割は歯周病や虫歯。プラーク、舌苔といった口の中の問題に由来しているといわれてます。ニオイの原因は細菌が発生する揮発性ガス  口臭のニオイの元を作り出しているのは、口の中に生息する細菌です・細菌たちは食べかすなどを分解する過程で様々なガスを発生させ、そのガスのニオイが口臭となってあらわれます。そのガスの中でも特にニオイの元になるのが揮発性硫黄化合物(VCS)と呼ばれるガスで具体的なものに○硫化水素…卵の腐ったようなニオイ○メチルメルカプタン…魚や野菜が腐ったようなニオイ○ジメチルサルファイド…生ゴミのようなニオイ などがあります。強烈なニオイを発生させる歯周病菌  強いニオイの元となるVCSは、酸素の少ないところに生息する『嫌気性菌』という菌が発生しています。そしてその嫌気性菌の代表格とも言えるのが歯周病菌です。実際に歯周病のある人の吐く息の中には、歯周病がある程度進行した人の場合、先に挙げた3つのVCSの中でも特にニオイが強烈な『メチルメルカプタン』の濃度が「上昇する』ことも分かっています

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