歯周病が認知症を引き起こすことも。様々な病気の原因をはらむ歯周病
「歯周病」と「認知症」。一見、なんの関連もないように思える病気です。しかしながら、歯周病で歯を失うことによって、認知症を引き起こすリスクが高まることが専門機関から指摘されました。今回は、歯周病と認知症の深い関わりについてお話しします。
「歯で噛むこと」と「脳の働き」はリンクしています
人間のお口の中は、とても鋭敏な感覚を持っています。髪の毛1本、米粒1粒であってもお口の中にあれば違和感を覚えることが一般的です。普段の食事においても舌触りや歯で噛むことで、味覚や触覚、嗅覚といった多くの情報をキャッチして脳へ伝達しています。なかでも、「記憶の司令塔」といわれる海馬(かいば)という脳の中心にある部位は、噛むことによって刺激を受け、脳機能が活性化されるという特徴を持っています。歯を失ってしっかり噛めなくなると、海馬をはじめとした脳の様々な部位への刺激が少なくなり、認知症のリスクが高まると考えられています。
歯周病菌がアルツハイマー病を進行させる要因に
歯周病と認知症の関係についてさらなる研究によると、認知症の中でも特に多い「アルツハイマー病」に歯周病菌が直接的に関わることがわかってきました。アルツハイマー病は、脳の中の認知機能や記憶をコントロールする部位に影響を及ぼす進行性の病気です。そんなアルツハイマー病の患者の脳から歯周病菌が発見されたことが、2013年に海外の研究機関から報告されました。また、アルツハイマー病が進行すると、脳内にタンパク質のゴミともいえる「アミロイドβ」がシミのように増加するといわれていますが、この老人斑ともよばれるシミの原因の1つに歯周病菌が関与していることが確認されています。
歯周病は定期検診で効果的に予防を
認知症やアルツハイマー病の原因ともなりうる歯周病の予防は、ご家庭でのセルフケアだけでなく歯医者での定期的なプロフェッショナルケアが重要になります。沈黙の病とも呼ばれる歯周病は、初期段階では日常生活に大きな影響を与えることがなく放置してしまいがちです。しかしながら、症状は静かに進行し、気が付いたときには歯ぐきが膿み、歯がグラグラしてきて、最終的に大切な歯を失ってしまうという事態を招きます。恐ろしい病気ではありますが、早期に適切な治療を行えば改善することが可能です。年齢を重ねても健康なお口をキープするために、歯科医院で定期検診を受ける習慣を身につけましょう。
むし歯治療だけでなく歯周病ケアについても、早良区のおおたデンタルクリニックにお気軽にご相談ください。